東京・渋谷の閑静な住宅街にひっそりと佇む「ヴィラ・クゥクゥ」
ル・コルビュジェに師事した、吉阪隆正さんの代表作として知られるこの建築ですが
女優の鈴木京香さんが2022年に継承・改修され、ご厚意により一般公開されています。
今回運よく見学することができたのでご紹介していきます。

この建築の一番の特徴は、ル・コルビュジェの代表作である「ロンシャンの礼拝堂」を彷彿とさせる色ガラスの開口部。
この開口部を通して光が差し込むことで、内部空間に彩りが生まれています。
階段下のあまり広くない範囲に設けられていて、主役ではないもののアクセントとして建築に彩りを与えているのが印象的でした。
キャンティ(方持ち)のなんとも言えない三角形の階段と相まって、魅力的な内部空間を演出しています。

この小さな住宅では、天井は傾斜し、天窓は丸く切り取られ、台形の間仕切りが空間を仕切っているのが特徴です。
円や四角など、彫刻のような造形が印象的な内部空間を作り出しています。

さまざまな形状が組み合わされていますが、一つの建築として魅力的な空間を作り出しているのが印象的でした。
また、窓の形状やガラスの種類もそれぞれ異なるなど、吉阪隆正さんのデザイン性の高さが伺えます。

ヴィラ・クゥクゥは、メゾネットタイプの住宅で、空間が一体的に利用される仕掛けがされています。
2階の寝室には、吹き抜けに面してユニークな化粧台があり、2階から1階の様子を見渡せる場所となっています。

また、ディテールにもかなりこだわりが見られ、手すりの形状もデザイン性の高いものになっています。
握りやすさとデザインが考慮され、なんとも形容しがたい形状になっています。
約75㎡という小さな住宅ですが、内部にはユニークな仕掛けがたくさん見られました。
生活している中でアートに触れるような、非日常を体感できる建築だなと感じました。

西側にある庭は、今回の改修で新しくなっています。
作庭されたのは、現代美術作家としても有名な杉本博司さん。
面積は狭いながら、垂直方向の広さを感じられ、石塔が印象的な庭になっています。
杉本博司さんの一ファンとしては、住宅の庭で見られるのがとても贅沢だなと思いました。
室内から眺めるお庭もとても美しかったです。

ファサードデザインも印象的な外観ですが、アートのようなレリーフが外壁に彫られているのも特徴。
このレリーフは、コンクリートのジャンカ(豆板と言われる空隙のようなもの)を繋げることで、レリーフになっています。
偶然できたジャンカをレリーフにされたそうですが、このレリーフが無骨なコンクリートの外観を、温かみのある住宅に変えているように感じました。

ル・コルビュジェを彷彿とさせる、色ガラスを持つ名作住宅。
女優の鈴木京香さんが継承・改修され、ご好意により一般公開されています。
ユニークなディテールや彫刻のような造形をもつ内部空間が印象的な建築です。
ヴィラ・クゥクゥの名称から、9の付く日に見学会が開催中。
一瞬で予約が埋まってしまうので、ダメもとで申し込みを。見学すると缶バッジが貰えます。

