東京・三鷹の住宅街に佇む「三鷹天命反転住宅」は、美術家・建築家の荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏により設計された集合住宅。
目と耳が不自由であった、アメリカの活動家ヘレン・ケラー氏をモデルに、身体能力の違いを超えて住まうことの可能性を秘めた住宅となっています。
現在は住宅としてだけでなく、3泊4日から滞在できるショートステイの提供や、学芸員による建物見学会が定期的に開催されています。

全部で9戸の個室を持つこの集合住宅には、内外装に14色の鮮やかな色が施され、それぞれ色の組み合わせが異なることから、
小説家の瀬戸内寂聴氏に「極彩色の死なない家」と表現されるなど、東京都三鷹市のランドマーク的存在にもなっています。

また、色彩だけでなく形状も豊かで、球や円筒、立方体を組み合わせた「プレキャスト造」の個室を積み重ねて作られています。
訪れると一目でわかる外観を持つ三鷹天命反転住宅。
14色もの「色合い」と球や立方体が積み重なる「複雑な形状」がアート作品とも思わせる建築で、地域のランドマークのような存在となっています。

住宅の内部も外観のイメージをそのままに、色彩豊かな内部空間が広がっています。
住戸は2LDKタイプと3LDKタイプがあり、それぞれ掘り込まれたオープンタイプのキッチンを中心に、周囲に個室が配置された構成となっています。

カラフルな室内は、どこから見ても6色以上の色が見えるように設計され、一つ一つの色を見るのではなく、自然の中の環境として知覚するよう計画されています。
また、床に傾斜がつくことで天井の高さが異なり、立つ場所によって見える景色が異なります。
「天井の赤色」と「配管の緑色」は補色の関係で、お互いを引き立てるような存在になっていたり、配色にも緻密な計画が感じられる空間となっていました。
また、長時間過ごしても色がうるさいと感じることはなく、まさに自然環境として感じられる空間となっています。

球や立方体の形状をした個室は、スタディや畳部屋、バスルームとしてそれぞれ異なる用途の部屋となっています。
「スタディ」の名称をもつ球体の部屋は、思わず寝転びたくなるような球の形状を活かした空間となっています。


バスルームは、中央にシャワー室が配置され、手前に洗面と洗濯機、奥にトイレが設置され、コンパクトながら機能性が確保され、
畳部屋は中心に円形の畳、奥に石が敷き詰められた空間で、和の雰囲気を感じることのできる場所が作られています。
それぞれ使い方に工夫が必要な個室ですが、さまざまな空間体験ができ、生活することの楽しさを感じられるような作りとなっています。

色彩や形状のほか、特質すべき部分は細部に施されたディテール。
大小の凹凸のある床は、大人と子供の土踏まずの大きさを考慮した形状となっていて、床をしっかりと掴むような感覚を歩くたびに感じられる仕上げが施されています。

一般的なインターフォンも斜めに取り付くことで、非日常的な使い勝手に変化しています。

また、天井に設けられた金具に棒状のフックを引っ掛けることで、コートや鞄をかけて利用することができます。
室内には「身体を中心に設計する」をコンセプトに、身体感覚を研ぎ澄ます、さまざまな仕掛けが施されています。
実際に歩いてみると足裏マッサージのような心地良い感覚があったり、フックを引っ掛けるのに背伸びをしたりと、普段の生活では感じることのない身体的な感覚を体験することができました。

東京・三鷹のランドマークにもなっている、14色の色彩豊かな集合住宅「三鷹天命反転住宅」
建物名にある「天命反転」は、不可能が可能になる感覚を体感できる空間を表し、死なないための住宅として、人の持つ感覚を刺激するさまざまな仕掛けが施されています。
住むための施設として、3泊4日から滞在できるショートステイの提供がされているほか、学芸員の方による建物見学会が定期的に開催されています。
当初見学会の予定はなかったものの、竣工当初から見学希望者が殺到し、世界中から人が集まる状況を鑑みて開催されることになったそう。
見学会では、実際に歩き回ったり、フックを吊り下げたり、実際にこの住宅のさまざまな仕掛けを体験でき、楽しく建築を学ぶことができる内容となっています。
三鷹天命反転住宅 in Memory of Helen Keller
所在地:東京都三鷹市大沢2-2-8
アクセス:三鷹駅からバスで約17分、徒歩で約1分
建築設計:荒川修作+マドリン・ギンズ、安井建築設計事務所
建築施工:竹中工務店
竣工:2005年10月
【事前予約制】三鷹天命反転住宅たてもの見学会
コース1:学芸担当者による建物見学会
コース2:建築する身体の見学会
所要時間:1時間30分
参加費用:大人¥3,000、子供(小・中・高校生)¥1,200、幼稚園以下 無料
ご予約はこちら https://www.rdloftsmitaka.com/tour/
©2005 Reversible Destiny Foundation. Reproduced with permission of the Reversible Destiny Foundation.





















