【座間栗原カフェ / HAKONIWA】閉じた50年をひらく、街角のオアシス。


神奈川県座間市に計画された「座間栗原カフェ / HAKONIWA」

建物を設計したのは、横浜を拠点に多くの住宅建築を手掛けている「小倉建築計画工房」で、そこにしかない唯一無二の建築を理念に、クライアントに寄り添った設計を得意としています。

この計画では、ゴルフ場に併設された築50年のクラブハウスの老朽化に伴う、建物の全面改修により「カフェ」にコンバージョンされています。

本記事では、この建築の持つ魅力と小倉建築計画工房の代表を務める、建築家・小倉大助氏の考えを紐解いていきます。


地域のオアシスとなる建築

敷地は交通量の多い交差点に位置し、多くの車が行き交う一方で、人が立ち止まり、時間を過ごせる場所は周囲にほとんどない状況。

そこで、かつてゴルフ練習場の利用者だけを迎えていた建物を、誰もが立ち寄れるカフェへと転換し、人が集い、街に潤いをもたらす「街角のオアシス」を目指した計画がされています。


オアシスのような、街と人の暮らしに「潤い」と「豊かさ」を感じられる空間を作ることで、街の新しい風景が誕生しています。

けんちくみならい
けんちくみならい

「街角のオアシス」というフレーズが印象的ですが、設計で意図したことを教えてください。

小倉大助 氏
小倉大助 氏

交通量の多い交差点だからこそ、建物の中だけではなく、街を歩く人にも緑や光、水の気配を感じてもらえる場所にしたいと考えました。
店を利用する人だけの場所ではなく、街角そのものに少しほっとできる余白をつくるようなイメージです。


緑と木製サッシが繋ぐ内外の空間

改修では、50年の時間を刻んだ柱・梁を可能な限り残し、構造補強を施しながら開口部を再構成しています。

内外の境界には大きな木製サッシによる開口部を設け、カフェと庭がひと続きとなり、建物と街が緩やかにつながるよう計画。


内部には植栽を組み込んだ大きなテーブルを据え、庭の緑を室内へと連続させています。

加えて、外部には水景を設けることで、流れ落ちる水の音で交差点の喧騒を和らげ

光、緑、水、音を建築に取り込み、都市の喧騒から穏やかな時間へと切り替わる居場所をつくり出しています。

けんちくみならい
けんちくみならい

内外の緩やかな連続と、新旧のコントラストが美しい空間ですね。

小倉大助 氏
小倉大助 氏

内部は新しい空間としてつくり込みながらも、既存の建物が持つ素材感や時間の痕跡を残しています。
そこに木や植栽などを重ねることで、新旧を対立させるのではなく、自然と調和しながらつながって見える空間を目指しました。


開口部の再構成によって広がるリノベーション

改修前

建物自体は1974年に竣工した、築50年の木造平屋のクラブハウス。

そのため、街に対して閉じ、必要な場所に採光のための開口部が設けられている状況。

一方で、50年の時間を支えてきた木造の骨格と、その前面には広々とした駐車スペースが残されていたため、この特徴を活かすことで新しい価値を生み出しています。


改修後

小倉建築計画工房は、この骨格を生かしながら開口部を整理し、建物を大きな余白へと開くことで、内部と外部、そして街との新しい関係をつくることができると考えました。

そこに、役割を失った建物を再生するだけでなく、この街角そのものに新しい価値を生み出せる可能性を感じ、今回の計画が誕生しています。

けんちくみならい
けんちくみならい

リノベーションにあたって、特に大切にしたことはありますか。

小倉大助 氏
小倉大助 氏

既存建物を残すこと自体が目的ではなく、この場所に残すべきものは何か。そして、生み出すべき新しい価値は何かを見極めることを大切にしました。
過去の時間を受け継ぎながら、新しい使われ方や街との関係を重ねていく。そのバランスが、この計画で最も難しく、同時に面白かったところです。


新しい風景を作る外構デザインと照明計画

50年を生きた建築の骨格を受け継ぎ、建築・外構・植栽・照明を一体として再編集することで、かつての付属施設は地域の新たな居場所へと生まれ変わっています。


かつて駐車スペースだった場所には、水景と植栽によって人が集まるテラスが設けられ、新しい街の風景が作り出されています。

一つの建物をひらくことで、街角そのものをひらく建築となっています。

けんちくみならい
けんちくみならい

ライトアップされた夕景も美しいですね。

小倉大助 氏
小倉大助 氏

夜も建物だけを強く照らすのではなく、建物の各所から柔らかく漏れる光によって、街角全体が穏やかに浮かび上がるように計画しました。
昼と夜で異なる表情をつくりながら、通りを歩く人にも心地よく感じてもらえる風景を目指しています。


まとめ

神奈川県座間市に計画された「座間栗原カフェ / HAKONIWA」

殺風景だった街角に「オアシス」を作ることで、地域の憩いの場を創出した、街の風景を変えるコンバージョン計画。

建築と外構デザイン、照明計画が緻密に計画されることで、自然とここに集まりたくなるような場所が、見事に作り出されています。

けんちくみならい
けんちくみならい

「座間栗原カフェ / HAKONIWA」は現在、RENOVATION OF THE YEAR 2026にエントリー中。

エントリーサイトでは、物件情報や費用などのリノベーション情報も掲載されているので、併せてご覧ください。

小倉大助 氏
小倉大助 氏

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2026年9月25日から10月27日まで