栃木県那須町にある アートビオトープ那須。
その敷地内に広がるランドスケープが、石上純也による《水庭(Water Garden)》である。
公式サイトではこのプロジェクトについて、
“敷地内に新たな森を創り出すプロジェクト” と説明されている。
(参照:https://www.artbiotop.jp/)
建築というより、風景そのものを設計対象とした作品だ。
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森を“移植”するという発想
水庭は、もともとホテル建設予定地だった場所に計画された。
建設中止によって残された基礎跡地を、石上は否定せずに読み替えた。
公式解説では、
“約160本の樹木を移植し、大小さまざまな水盤を配置している” とある。
(参照:アートビオトープ那須 公式情報)
森を壊して建てるのではなく、
森を再編集する。
建築の対象が「物体」から「環境」へ移行しているように見える。(※解釈)
▶︎ みならいメモ
最初に写真を見たとき、自然の池だと思った。
でも知れば知るほど、これは極めて人工的。
自然を模倣するのではなく、自然を再構成している感覚がある。
建築が前景化しない空間
石上純也は、建築を強い形として提示しない建築家だ。
代表作のひとつ、
(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/神奈川工科大学KAIT工房)
KAIT工房では、林のように柱が配置され、明確な部屋の境界がない。
水庭でも同様に、「建物」は存在しない。
あるのは、水面と木々と光。
建築が消え、環境だけが残る。
これは「建てる」という行為よりも、「関係性をつくる」行為に近い。(※解釈)
▶︎ みならいメモ
建築を見に行ったはずなのに、
気づけば水面と風の動きばかり見ていた。
建物が主役ではない体験は、意外なほど心地いい。
水盤という幾何学
水庭の水盤は、自然の池とは異なる。
輪郭は設計され、配置も計算されている。
しかし直線的すぎず、森の不規則さと呼応する。
公式説明では、
“自然と人工の境界が曖昧になる風景” を目指していると記されている。
(参照:アートビオトープ那須 公式解説)
人工物でありながら、人工に見えない。
自然と人工の「あいだ」をつくることが、この作品の核ではないか。(※解釈)
▶︎ みならいメモ
風が吹くと、水面が森を歪ませる。
景色がゆらぐ。
止まっているのに、ずっと動いている庭だった。
時間を含む建築
水面は空を映し、
天候によって表情を変える。
つまりこの庭は、固定された造形物ではない。
時間と気候を取り込む設計である。
石上純也の建築は、物体というより“状態”に近いのかもしれない。(※解釈)
▶︎ みならいメモ
音が小さい。
都市の庭園とは違う静けさがある。
建築というより、呼吸のリズムに近い空間だった。
まとめ
アートビオトープ水庭は、
- 森を移植する
- 水盤を配置する
- 建築を前面に出さない
という方法で、新しい風景をつくった。
強い形ではなく、
関係性を設計する建築。
それは「建築をつくる」から
「環境を編む」への転換だと言える。(※解釈)

