三重県・伊賀にある名建築がリニューアルして誕生した「泊船」
旧上野市庁舎がコンバージョンされ、泊まれる建築になりました。
今回はそんな歴史ある建築と現代のデザインが融合した、複合施設を紹介していきます。

この建築は、ル・コルビュジェの高弟子である坂倉準三さんによって設計された建築で
列柱や水平連続窓といったモダニズム建築としての要素をいくつか見ることができます。

文化財として、モダニズム建築の要素が多く保存されているほか、伊賀市の市民憲章が残っていたり、庁舎としての面影も見ることができます。
約10年の議論によって、保存が決定されましたが、解体されずに本当によかったと思いました。
杉板の型枠でできたコンクリートの質感など、他にも見どころが満載です。

坂倉準三さんは「建築は生きた人間のためのもの」を設計理念にしていて
この建築でも、建物内部にいながら自然を感じることができる空間が創出されています。

中庭を活かすように配置されたラウンジもあり、改修後も自然を感じることができるよう計画されています。
2階は宿泊者限定のエリアになっていて、外から閉じた場所になっていますが
中庭を囲うように通路とラウンジが配置されているため、明るく開放的な空間になっています。

客室は柔らかい印象の色合いや質感が漂う空間になっていて、外部の喧騒から離れた静かな場所になっています。
低く抑えられた視線が、落ち着いた雰囲気を感じさせる空間を創出しています。

また、坂倉準三建築研究所によるデザインの椅子など、空間にマッチした天童木工さんの家具が置かれています。
坂倉準三さんの建築に、天童木工さんの椅子という贅沢な宿泊室。
椅子やソファ、カーペットの柔らかい質感や、壁や天井の色合いによって、落ち着く空間が作り出されていました。

傾斜した敷地を活かした、地下1階と地上1階には、図書館が2026年4月にオープン予定。
外の広場の延長のような空間や、流動的な配置の書架など、MARU。architectureさんによって改修設計がされています。

天井に設けられた柔らかい膜が、コンクリートの冷たい質感を調和し、現代的な図書館として再生されています。
オープン前でしたが、あとは本が入るだけのような状態で、天井の膜が柔らかい印象の図書館を作り出していました。
近くにあったら嬉しい、利用が楽しみになるような空間。

旧上野市庁舎がコンバージョンされ、宿泊施設や図書館を含む複合施設になった建築。
坂倉準三さん設計のモダニズム建築が、MARU。architectureさんによって現代的な空間に再生されています。
泊まれる名建築として、2025年7月に開業。2026年4月には図書館がオープン予定です。
モダニズム建築に泊まれるということで、建築好きは必見の複合施設。
実際訪れてみると、洗練された外観とは対照的な、柔らかい内部空間がとても印象的でした。
訪問した際の建築VlogをYouTubeで公開予定です。よければご覧ください。
