東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間にて開催中の「山田紗子展 parallel tunes」
建築家の山田紗子さんの初の個展で、自邸「daita2019」や大阪・関西万博「休憩所3」を初め、彼女の代表的な作品を見ることのできる展覧会。
展示されている模型やドローイングなどは、今回の展覧会のためにオリジナルで制作された貴重なものです。
展覧会の名称になっている「parallel tunes(並走するメロディ)」の意味を体感し、建築に対する山田紗子さんの価値観を知ることのできる展示内容となっています。

「野生生物を記録する映像ディレクター」を母に持つ山田さん。
そんなルーツから、ルワンダの森に生息するマウンテンゴリラが、森の中に即興的につくる「家」に着目し、
自由に居場所をつくることのできる住宅を、東京の自邸で再現されています。

展示されている1/5の大型模型では、住宅部分と庭部分が、
さまざまな線(樹木や構造材、建具など)によって徐々に繋がっていく様を見ることができます。
模型を複数の位置から見ると面白く、木やフレームが緩衝材になって、住宅部分のプライバシーを確保されている様子を見ることができます。
線だけでなく、カーブミラーや自動車、洗濯物なども再現され、さまざまな物が風景となって織りなす空間が印象的でした。

山田紗子さんの建築を語るうえで、キーワードとなるのが「コラージュ」と「ドローイング」
模型だと現実との乖離が生じることが多いため、コラージュやドローイングを重要視し、設計で大事なことを整理するのに活用されています。

今回展示されているドローイングなどは、通常のものを引き延ばして制作されていて、見るというよりも感じる展示作品になっています。
巨大なドローイングは存在感があり、山田紗子さんの世界観を体感できる展示作品になっています。
絵本の世界に入り込むような、等身大スケールの展示となっていました。

現在進行中の建築作品「hebi」の展示。
自然豊かな崖地に位置する敷地に計画されているプロジェクトで、
自然の中をうねうねと這うような「蛇」のような建築模型になっています。

会場全体では「daita2019」や「hebi」などの自然の中に存在する建築の模型や、
カラフルなコラージュとドローイングが混在する展示構成になっています。
模型の中を覗いたり、カラフルなドローイングの周りを歩いたり、巡っていて楽しい展示空間になっていました。
模型の中も作り込まれていて、キャプションを読んで、模型を覗くことで意図された建築の世界を体感できる展示になっています。

大阪・関西万博のトイレや休憩所からなるパブリックスペース「休憩所3」の展示。
休憩所3は、植栽と建築からなるランドスケープのような建築群で、
「建物の個性」と「周囲の環境」が緩やかに繋がる作品になっています。

「動きのある立体」や「色の移り変わり」が印象的な建築ですが、
模型としてビジュアライズされることで、広大な敷地と建築の全体を望むことができるようになっています。
屈んでアイレベルで見たり、上空の通路から見ると、設計で意図された風景としての建築がよくわかる展示になっています。
点字ブロックの黄色が建築の立面に移り変わる部分など、色彩の変化が見ていてとても面白かったです。

活躍の場を広げる注目の建築家・山田紗子さんの初の個展「山田紗子展 parallel tunes」
建築と自然や人、ものなどが奏でるメロディのような建築を体感することのできる展示となっています。
4階では「outline bar」や「nu:kuju」など、実際の建築作品を映像として見ることもできます。
今後の活躍がとても楽しみな建築家・山田紗子さんの展覧会。
「自由な造形」や「豊かな色彩」が印象的で、巨大なコラージュやドローイングがとても魅力的でした。
展覧会の会期は2026年4月16日(木)〜7月12日(日)
入場無料なので、皆さんもぜひ訪れてみてください。

展覧会に際して作成された、山田紗子さん初の作品集
「パラレル・チューンズ 山田紗子作品集」


全37のプロジェクトが解説されているほか、西沢立衛さんとの対談など見応え十分の内容になっています。

2階のBook Shop TOTOでは、山田紗子さんの選んだ推薦図書も見ることができるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
早めに行くとサイン本が購入できるほか、先着で展覧会のポスターも付いてきます。
展覧会では模型やドローイングが多く展示されていましたが、作品集では美しい写真とともに解説がされています。
写真で見るとより理解が深まり、山田紗子さんの建築の魅力をより感じることができます。

山田紗子展 parallel tunesの講演会が、5月29日(金)に開催予定。
東京・千代田区にあるイイノホールが会場になっています。
申込期間は、3月25日(水)〜5月17日(日)と長くないので、お早めに申し込みを。
展覧会を観るだけでなく、講演会で聴くことで、より一層理解を深められる機会。
こちらも参加無料なので、ぜひ申し込んでみてください。
また、「ギャラリートーク」や「ギャラリーツアー」もあるので、気になる方は公式サイトをご覧ください。
